ペインクリニックと痛みの悪循環

ペインクリニックとは

ペインクリニックとは「痛み」を総合的に診断・治療し、痛みを取り除くことを専門とする診療科です。
症状や身体所見から多角的に痛みの原因を診断し、薬物療法だけでなく神経ブロックを始めとする各種の治療法を駆使して痛みを軽減させ、生活の質を維持・向上させます。
痛みは長引くと、さらに新しい痛みを引き起こしてしまいます。これを「痛みの悪循環」と言います。
ひとたびこの悪循環に陥ると、なかなか一般の治療に反応しなくなります。そのため、痛みを我慢して痛みの悪循環に陥る前にペインクリニックで治療をすることが、慢性的な痛みにならないために必要なことなのです。なごみペインクリニックでは、患者さん一人ひとりの症状を考え、生活の質の維持と向上を目標に定め、治療内容を選択します。主な治療内容は、根本的な原因がわかっても取り除けない痛みを、神経ブロック療法を用いて治療する方法です。
たとえば、加齢にともなう肩・腰の痛み、ケガや手術後の長引く痛み、帯状疱疹のあとの神経痛、血液の循環の悪さから引き起こる病気など、原因が分かっていても取り除けない痛みがあります。
原因が明らかな場合はそれを取り除くことが第一ですが、取り除けない場合には慢性的な痛みにならないよう予防するために治療を行います。神経ブロック療法は慢性的な痛みの予防に大きな力を発揮します。
また神経ブロック療法と併用して痛みの種類に合わせて行う薬物療法も重要な治療の一つになります。

痛みの悪循環

痛みの悪循環

神経にはいくつかの種類があり身体を調節する交感神経、体を動かす運動神経、痛みを感じ伝える知覚神経などがあり、どの神経に障害が起こっても人の体は不具合を感じます。痛みはまず知覚神経が認識し、交感神経の緊張と運動神経を興奮させ、血管の収縮や筋肉の緊張を起こします。その結果、血行が悪くなり痛みを引き起こす発痛物質の発生につながります。

筋肉の緊張や血管の収縮も、本来ケガや病気による出血を止めるためには必要なことですが、通常であれば痛みが生じても、交感神経の反応はすぐにおさまり、血行が改善されて、痛みが鎮まります。しかし慢性的な痛みに変化してしまうと血行の悪い状態が続き、発痛物質が多く発生するようになります。この発痛物質は血管を収縮させるため、さらに血行を悪化させ新しい発痛物質が発生するという「痛みの悪循環」を引き起こしていきます。

また、慢性的な痛みの場合、痛みを引き起こした原因が無くなっても、痛みを取り去ることが難しくなります。さらに、痛みが続くことで痛みにばかり注意が向きがちになり、眠れなくなったり、不安や恐怖からうつ状態に繋がり、ますます痛みにとらわれて症状が重くなるという悪循環に陥ることもあります。
痛みは慢性化する前に、適切な治療を行って早期に原因を取り除くことが大切です。